「
マニフェスト」について、2月からほったらかしですね。
途中、
(選挙前に立候補表明者が意見発表をする場であるのに
公約をアピールすることが公職選挙法上許されないという)「公開討論会」の質問の中で
参加者から意見を引き出そうと、「マニフエスト」という言葉を使ってみました。
6人の候補者からお聞きした回答の中にもどうもピッタリくるお話は聞けなかったように感じました。
そもそも、立候補を表明した方が選挙期間前であるということで
公約を選挙民に伝えられないのはおかしいのではないかという主張は別の機会にさせていただくとして、
この「
マニフェスト」は、やはりまだまだテレビでニュースとして取り上げられるレベル、
与野党の若手国会議員や先進派知事が口にする段階でしかないと思ってしまいます。
近場では、松山の中村市長は三十の優先的施策を発表するとかして、
進歩的な首長である面目を躍如されたと評価したいと思います。
同市長選は、信任投票的な選挙であったのですが、氏の戦いはスマートなものに見えました。
さすが、JCOBであります。
さて、
マニフェストとは、
もともとは英国の与党と野党が選挙の際に公表する政策綱領のことであります。
日本でも、各党が主要課題・直面する政策課題について
公約と称する
絵に描いた餅を提示するのが行われておりますが、
表現がきわめて抽象的で、また総花的でありまして、どうも実現の可能性をあまり感じられない
(私だけでしょうか?)ものであるのと対照的に、
より具体的に、「これを優先するからこれこれは我慢する」という風なマイナス部分までオープンにする。
そして実現の目標期日まで明らかにするものなのです。
北川氏(当時三重県知事)は、
本年1月に行われたシンポジウム「分権時代の自治体改革―自らの手でどう壁を破るか」の中で、
「本来、政党が作るべき
マニフェストだが、知事の立場でぜひ作ってほしい。
福祉予算をつけるなら公共事業は削るとか、選択肢を明確に示すべきだ」と主張しました。
まさしく、政党頼みの候補者が減り政党と距離を置いた無党派知事が生まれる傾向のある「地方」では、
国政与野党の
公約の
マニフェスト化の改革に先んじて、
マニフェストで戦う選挙を進めようとしていると見て取れました。
北川氏の主張は同席した片山知事(鳥取)・増田知事(岩手)(両氏とも再選)をはじめ、
4月の統一地方選に出馬する知事選候補者にも向けられたものでありましょう。
今の日本、どういう政策をどうして実現するか明らかにせず、
総花的に、
有権者に聞こえの良い政策だけ並べたような、
それも抽象的な言葉で、票が減りそうな政策はオープンにしない。
そんな
公約で騙される国民は少なくなりました。
いえ、騙され続けた故に政党支持のない国民がどんどんと増えているのでしょうか。
本当は、国政選挙では、毎度毎度マニフェストを示し、
その有権者の支持を受けた政策でもって、国政がなされるべきであります。
そういう有権者の支持を得たマニフェストを持てないから、
ただ難しい試験に通っただけの官僚に支配される政治が続いているのです。
本来の政治主導、すなわち国民主権の実現がなされないのです。
約束を破ることは、当然戒められるべきことです。
確かに環境の変化により約束が守れない事態に陥ることはあるわけで、
その場合は説明責任を果たし、代替案を示し打開案を示せばいいのです。
では、約束を破る以前に、できもしないことを約束することはどう扱うべきなのでしょう。
端からできもしないことを約束することは、約束を破る以上に悪いことと思われます。
英国では、
公約破りは罪とさえ捉えられています。
かたや我が国では、選挙対策的に政策を示し、
状況(環境)が変わったからと政策を変えるこんな虚偽広告(JAROに連絡しますか?)
だらけなのが選挙公約ではないでしょうか。
公約違反は「たいしたことでない」と発言する首相がなぜ許されるのでしよう。
英国では、できないことを公約することは、公約を破ることより罪が重いとされています。
事実、
マニフェストは
「何を、いつまでに、どの程度実現する、そのための財源はどのようにして確保する」
という点まで具体的に国民に示すものであります。
そして、野党・国民は、約束がどう守られているかを常にチェックするわけです。
また、野党は、与党に対し、常に実現可能な(代案)政策を示し、
国民に対し対抗する代替案があることをアピールすることが求められます。
ですからこの主張は、政権与党である自民党を責めるだけのものではありません。
自らの政策の実現可能性を棚の上に上げておいて、
さも野党であることがその政策を実現できないことの理由であるとしているように言う。
そんな野党は、国民から期待もされません。
皆が「政権交代なんてないのでは」と信頼を得られていないのが現実では無いでしょうか。
与党も野党もより具体的な公約=マニフェストでもって、
選挙を戦い、
得られた支持を政策実現の原動力としてほしいと思います。
そういう意味では、
大統領的立場に立つ知事選挙なり首長選挙で、
マニフェストによる選挙、
マニフェストが守られるかどうかに基づく政権評価の実現を目指すべきかと思います。
限られた財源の中で何をどう達成するか、
財政縮小の今こそ、実現可能な政策をその実現する術を示して政治が行われるべきと思います。