では、最後に消費税と年金の計算をしてみましょう。
65歳以上の人口を三千万人とします。
(一昨年10月の国勢調査で2929万3000人。)
全員に基礎年金の満額を支払うとして、
月額 66000円
12ヶ月分で、
年間79万2000円として、
総額は、23兆7600億円。
現在の消費税5%の段階での消費税収が、
おおよそ、10兆2千億円ですから、
基礎年金を全部消費税でまかなうとすると、
23兆7600億円/10兆2千億円で、約11.7%必要となります。
消費税は5%のうち、地方消費税が1%と
地方交付税として国が恵んでくれるのが1.2%です。
地方へは今以上分け前を出さないで、増税分のすべてを国の取り分として、
それで基礎年金費用をまかなうとすれば、
11.7%+2.2%(現在の地方分)=13.9%の消費税が必要だと言うことになります。
無駄遣いをやめ、年金目的税として消費税を位置づけて単純化(全額をそこへ回す)すると、こんな計算になります。
この制度の上(上記の税で基礎年金・最低保障年金?をまかなう)で、消費税を下げられる可能性についてまとめてみます。
1.基礎年金の半分を税金でうまかなうとしている「基礎年金の国庫負担分」約10兆5千億円(2010年度の予算ベース)が不要になりまして、これは消費税換算で5.2%に相当します。
2.65歳以上の高齢者にかかる生活保護費は、基礎年金という収入があることで不要になります。これは、推計1兆4200億円といい、現在の消費税0.7%にあたります。
3.先にも述べましたが、年金保険料徴収業務の費用、年間約650億円が不要になります。
基礎年金の財源だけとすれば、13.9%-5.2%-0.7%=8% で済むのです。
では、逆に国民負担という面から考えてみましょう。
現在の基礎年金保険料は、月額15000円です。これは、不要になります。
年額で18万円の保険料の負担がなくなります。
現在の5%消費税の現在の使い道をそのままで、仮に消費税の上げ幅を8%として、基礎年金をまかなうとした場合、
一ヶ月の消費金額187500円以下の人には、基礎年金保険料が無くなるメリットの方が大きくなります。
これは、
【消費額】187500×【消費税率】0.08=15000円だからです。
また、基礎年金に所得制限を設ければ財源は少なくて済みます。消費税率をさらにディスカウントすることができるのです。これは、制限の幅によってどれだけ消費税率を下げられるかは違いますが、基礎年金を、本来的な社会保障としての年金制度と考えれば、歳を取ってもいくらかの収入が得られる人、元気に働いて、「元気に稼いで」いる方への保障を下げていくことは当然のことではないかと思うのです。
現在の年金制度は破綻しています。
積立金がなくなったら終わりという制度です。
信頼する人が少なく、払いたくない人が多い制度です。
この年金制度を抜本的に変えること無しに、消費税を上げるなど言語道断。
やっぱり、「消費税を上げる前にやることがある」でした。