FC2ブログ

Entries

子ども医療費の助成に歯止めを「誰でも何でも、ただ」は行き過ぎでしょう

子どもの医療費の無料化は、優先すべきお金の使い道でしょうか

3月議会でも少し触れたのですが、6月議会でも質問して、岡原市長の考えを尋ねました。

岡原市長の考えは、来年(2021年)4月から、現在行っている、「学校給食費の一部補助(1食100円)を止めて中学卒業まで医療費を無料化しよう」というものです。

「ただより高いものは無い」という言葉がありますが、医療費もまた無償化してしまうと右肩上がりで増加していくようです。導入はしてみたものの、自治体にとって、大きな負担になってしまうことがほとんどで、止めるに止められないことが多いのです。健康増進のためになどと言いながら、医療費が減額した自治体はないようです。
宇和島では、どの程度の増加を想定しているのでしょうか。その増加をまかなうだけの財政的な余力があると考えているのでしょうか。

兵庫県三田市は、人口約7万4千人(宇和島市は7万3千人)で、子どもの医療費を無料化して3年経った2017年には、3億8千万円に膨らみました。※1

岡山県総社市は、人口6万9千人で、子ども医療費の無料化に2億6千万円(2016年度)もかかっているのです。※3
注記)人口規模がおおよそ同じほどの市を例に出しましたが、この数字だけで財政的な負担を喧伝するつもりはありません。例えば、当該市の対象人口の差によって、その総額に、自ずと差が出ることは当然であります。それを承知した上で、無料化前と比較して「増加」した実態について、「額」や「率」をイメージしてもらいたいのです。

3月議会でも触れましたが、政策研究大学院大学の新田氏の論文※4(2019年)でも、
医療費助成は、近隣市町の制度拡充がもっとも影響し、医療費助成の範囲が拡大をされることが多いと分析されています。
2011年の青山経済論集にある西川氏の論文※5では、
選挙後2年目に制度変更の頻度が低下するデータが示されています。つまり、選挙の票集めに公約として提示され、就任後に制度改革が成されるということなのです。

また、さらに厳しい意見もあります。「子育てコスト軽減策の一つとして拡充されている小児医療費助成制度(以下「助成制度」)は、経済学の観点からは価格の引き下げによる受診増加を誘発し、小児救急医療における問題点の検証もされぬまま、また子育て支援策としての有効性も確認されぬまま制度の拡充だけが先行している。」(政策研究大学院大学 鴨志田氏の2017年の論文※6)

さらに、鴨志田氏は、その政策提言の中で、「自治体による医療費助成制度を制限すべき」としています。「重症者にはまったく影響ない」というデータが示され、現状の一部負担(現行の医療保健制度や高額療養費制度等)の中、一部負担があることで健康を損ねるということはほとんど無いとしています。また、一部負担が、「軽症者(モラルハザード)を抑制できる」ことも明らかであるとしています。

2012年の東京大学 公共政策大学院の大辻氏の論文※7でも、
「本来、地方自治体の単独事業には、各地域の特性を反映し、創意工夫を凝らしたものが期待されるが、助成制度は効率化や工夫をなす余地が小さい。制度改正の時期や頻度をみると、自治体は、各々に客観的に望ましいと判断した基準で実施するというよりは、県基準や周辺地域の動向に合わせるといった理由で実施しているようにみえる。また、政治的要因によって合理的な政策判断がなされていない恐れもある。」と指摘されています。

2014年の政策研究大学院大学の田中氏の論文※8では、
医療費助成制度の拡大が受診行動および健康状態に与える影響を都道府県別パネルデータを用いて実証分析しており、助成制度を拡大している自治体は、乳幼児の医療機関への受診を促しているものの、健康状態に良い影響を与えているとはいえないことから、少なくとも自己負担の無料化はすべきでないことを提言しています。

実際に、先に触れた、兵庫県三田市(7万4千人)の子ども医療費助成は、
2011年7月にそれまで在った所得制限を撤廃し、
2015年7月からは外来の無料化対象をそれまでの小学生以下から中学生以下まで拡大しました。
その間(医療の高度化もありますが)、三田市は、2010年に1億7千万円だった助成額は、2017年には3億8千万円、つまり2.23倍になっているのです。これは、市の一般会計予算の1%に及ぶと言います。
そこで、2018年7月から、未就学児は引き続き全て無料ですが、小中学生は低所得者を除いて、医療機関一つ当たり通院月2回まで、1回最大400円の一部負担金を導入しました。
2020年7月からは、さらに、所得制限額以上の世帯について一部負担金を1日最大800円に増額予定だといいます。
人口減少・少子高齢化の中で住民を引きつけるため自治体が競うように助成を拡充する中、同市の森哲男市長は「今やるべきは、何でも無料にすることなのか」と疑問を投げかけているのです。
三田市のこの制度変更は、すぐに効果がありました。2018年7~12月において、助成件数で前年同期比で9%減り、助成金額も1億8916万円と14%(約3100万円)減ったのです。
小学生は件数で10%、金額で23%、中学生はそれぞれ15%、23%減ったといいます。※1※2

また、岡山県総社市(人口6万9千人)では、小児医療費適正化推進本部を設けています。※3
それは、平成19年1億7千1百万円だった医療費が、平成28年に2億6千4百万円(54%増)に増えていることから、医療費の増大に歯止めをかける(適正な水準にする)ことを目的として設置されたものです。
助成制度の見直しを検討する目安を2億5千8百万円と設定して、広報に「小児医療費無料化の危機」という啓発ページをつくり、「総社市の小児医療費支出額が増えています」と題したポスターをつくり、「子ども医療費無料化を続けるために」というチラシを配付し、小児医療費無料化についてのアンケートを実施しています。
こんなことにまでお金が要るのだとは申しませんし、必要なお金は躊躇無く使うべきなのでしょうが、そんな努力が必要になるのが、このばらまき政策だと私は考えるのです。

岡原市長就任後すぐに導入された小児歯科医療費の無料化については、前石橋市長時代から、私が提言を続けて来た政策で、今年度から導入される、歯周病検診の無料化を19歳からに広げることも、将来医療費を削減する効果があり、小児医療費の完全無料化とは、似て非なるどころか、真逆の結果を生むデータが在るのです。
また、これも手前味噌でありますが。
歯周病が糖尿病等の全身疾患との高い関係性があることから、歯科と他の医療機関の連携を進める本年度スタートする制度は、医療費の低減効果の(健康を保つことで)見込める、有効な投資であるとして、宇和島では、私が提案してきたことです。しかし、データをどう探しても、医療費を誰でも何にでも無料にしてしまうことの正しさや効果が上がっている状況は日本では見えてこないのです。
宇和島で無料化したら、年に1億〜1億5千万円のお金があらたに必要になることを想定することが必要です。
日本が世界に誇るべき「国民皆保険」の下、一部負担で済む医療保険制度(高額療養費制度を含め)に加え、宇和島市では、中学卒業まで、「入院医療費の全額助成」と「月額3千円を越えた医療費は申請で帰ってくる」制度が在るのです。生活困窮者の家庭やひとり親の家庭へは医療扶助の制度があります。所得制限もせず、医療費をみんな無料化することよりも、子どもたちのためになると考えられる事業や子育て支援につながる事業は思い付かないのでしょうか。毎年、1億5千万円のお金が、医療費無料化の費用として制度変更されるまで出ていき続けることを良い政策と考えられますか。ここは、是非に立ち止まって、政策の有効性を考えて頂きたいと強く主張いたします。

※参考に高齢者医療費等の推移について考えてみましょう
自治体レベルで昭和35年頃から、そして、昭和48年からは全国で、70才以上の医療費一律無料化がされました。
しかし、それが、昭和58年の老人保健法の改定で、患者負担が導入されました。
また、介護保険導入当初、自己負担は一律1割でした。しかし、サービス需要が増え、財源不足に陥り、保険料を上げることと、税金投入を増やすことになったのです。そして、介護現場の人材不足も相まって、自己負担が増えることになり、1割から3割に自己負担は増えたのです。
例えば、介護保健施設の食費は、原則自己負担ではありますが、住民税非課税世帯や一定の所得や貯金額により、補助を受けられます。しかし、非課税世帯の一部に月2万2千円の負担を求め、預貯金の要件も見直しして対象者は減らされてきました。また、高所得者は、自己負担の月額上限も見直しされるのです、これはいったいなぜなのでしょう。

※1 2019/4/13 2:00 日本経済新聞 電子版 「子供の医療費「無料」限界 兵庫・三田市の事情」
※2 2020/3/12 神戸新聞NEXT 「小中生の医療費助成 高所得者の自己負担増へ 三田市」
※3 総社市 HP 「医療費のむだ遣いをなくしましょう」「総社市小児医療費適正化への取組」等
※4 区市町村における子ども医療費助成制度の拡充行動について
※5 乳幼児医療助成制度の一考察
※6 医療費助成制度の助成制限、救急電話相談等が小児二次救急医療機関のコンビニ受診に与える影響について
※7 社会保障と地方自治体(「乳幼児等医療費助成制度」の是非を検討する)
※8 乳幼児医療費助成制度の拡大が小児医療に与える影響分析
スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://motosuketrd.blog.fc2.com/tb.php/2716-e0c69340

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Calender

08 ≪│2020/09│≫ 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

Translate【Japanese→English】

English

Profile

motosuke.net

Author:motosuke.net
神戸の震災の支援に行き身体の動かない自分に気づきました。
それからジョギングやスイミングを始め、14㎏の減量。
一応、トライアスリートです。冬場は、駅伝も走ります。
JC時代から、地域づくりに関わり、公開討論会を開くなどしました。そんな私が、2009年夏、公開討論会の当事者になってしまいました。
その後、0からのスタートとして、市議会議員に当選して活動を続けています。

Categories

Afurieito Fc2

Twitter

Twitter < > Reload

Search

Tag Cloud

公共放送(#1)自虐史観(#2)食糧安保(#1)契約違反(#1)コスト(#1)靖国(#1)メルマガ(#1)アリバイ民主主義(#1)教科書問題(#1)ダイオキシン(#1)教科書採択(#1)イラク(#1)教科書(#1)ODA(#1)公開討論会(#2)市長選挙(#1)学校統廃合(#1)加害者(#1)リサイクル(#1)議会(#1)チベット(#1)民主主義(#1)リストラ(#3)混合診療(#1)介護(#1)地方空港問題(#1)公約(#1)安易な需要予測(#1)年金(#1)政治指導(#1)世襲議員(#1)公教育(#1)キリスト教(#1)市役所改革(#2)直接民主制(#1)改憲(#1)A級戦犯(#1)ゴミ減量(#3)市民の声(#2)システム(#1)長野県(#1)家計簿(#1)農業(#1)地元主義(#3)行政改革(#3)入札制度改革(#1)会議手法(#1)表現の自由(#1)合併(#1)不法投棄ゴミ(#2)原子力発電(#1)大学誘致(#1)地方分権(#1)入札監査(#1)英霊(#1)マニフェスト(#4)人権(#1)政策決定(#1)情報公開(#4)ジェンダーフリー(#1)市町村合併(#2)議員任期(#1)自治体規模(#1)中曽根(#1)財政出動(#1)ゴミ処理(#1)田中康夫(#1)財政改革(#1)医療(#1)迷惑施設(#1)倫理(#1)第3セクター(#1)食の安全(#1)歴史教科書(#3)無駄撲滅(#2)政策棚卸し(#1)台湾(#1)プロポーザル(#1)公式参拝(#1)消費税(#1)地域通貨(#1)公務員給与(#3)談合(#3)道徳(#1)九島架橋(#1)生活者重視(#1)誇り(#1)地方空港整備(#1)選挙制度改革(#3)知事(#1)ローカルマニフェスト(#1)ごみ処理費用の外部化(#1)リーダーシップ(#1)市民参加(#1)入札改革(#3)ネガティブキャンペーン(#1)事業仕分け(#1)一票の格差(#1)金太郎飴(#1)住民自治(#1)宗教対立(#1)市民意識(#1)ネット利用(#1)税金の無駄遣い(#1)契約(#1)まちの家計簿(#1)自虐教科書(#1)被害者(#1)歴史認識(#1)対中政策(#1)公立病院(#2)

Indicator of motivation

Ranking

FC2Blog Ranking

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Mobile

QR