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先進医療専門家会議という官僚支配二報

定刻を少し過ぎて始まった、先進医療専門家会議、

専門分野の違う医師が、どれだけ高度に疑問をぶつけ合うのか、


新しい医療サービスの一部を世界に冠たる皆保険制度に乗せて一般に普及させていく道を走らせるか、

それとも、今までどおり臨床研究で行うことしか出来ない、つまり保険を利用できず、
患者の個人負担や研究実施医療機関の負担で行われる医療として、
一般が利用できない医療サービスにとどめるのかを、

「新規届出技術を利用した混合診療を可として、一部保険負担するか否か」


大議論の後に、決定していくのだと想像していました。


実際に、
先進医療として混合診療を認めてから、しばらくしてから(期間の規定は無いようです)
その医療を、保険に適用するかどうか、それを検討する役割も負うのです。*1

会議の役割はともかく、
不謹慎な話、ディペードを見るような期待感。アカデミズムに触れられるという期待感を
正直持っていたのです。

座長は、とても落ち着かれていて、まさにアカデミズムを感じました。
しかし、座席表に始まる議案書を見て、まずびっくり。
医師資格をもっているだろうお役人が席札がある人だけで8人。
一方で、専門家会議の構成員は、21名中11名の出席です。
会議が成立するかどうかも怪しいような会議が始まりました。


型どおり、事務局が提出書類をもうほとんど全文読み上げます。

次のページの名簿を詳しく見て驚きがまた。移植を専門とする医師がいないのです。

また、これは終了後に判ったのですが、移植手術を一度もしたことのない、泌尿器科医の斎藤先生が
参加者のほとんど誰もが十分な知識を持っていない構成員の会議の中で、
腎移植から腎臓摘出や部分切除、自家腎移植等々についてご説明なさるのです。

移植への理解を求める会の勉強会に参加し、難波先生や堤先生らの論文などを読んできた私としては、
はなはだ幼稚な議論であると感じました。

先進医療専門家会議の第一回、眼科の坪田先生(旧構成員)の質問に答える形で、
眼科の分野でもたとえば不得意な分野があって、不得意な分野の案件にあたる場合には、
各構成員の責任で、いろんな方にお聞きになったり、
あるいはワーキンググループを自分の下につくりたいということであれば、
相談いただければ、いかようにも取り計らいます。と当時の医療課長は発言をしています。

つまり、メンバーの知識・経験だけでは、
この先進医療を将来的に保険適用するかどうかの決定は出来ないと言うことは解っていたのです。


であれば、昨日、先進医療専門家会議がおかしいとtweetしたように、
修復腎移植推進派と慎重派、反対派の参考人に出席要請して、
偏らない情報で正しく判断するために、
それぞれの主張の違いを一つずつ比較して検証できるだけの準備が成されるべきでは無いかと思いました。

もちろん、利益相反のある構成員は、議決からは排除されるべきです。
しかし、今回の案件については、
泌尿器が専門の斎藤先生(東京臨海病院副院長)が、
他の構成員の疑問に答える形しか取れない参加者の構成でありました。

修復腎移植という医療サービスを一部保険適用するかどうか、
そして将来的に、
すべて保険適用出来る施術として認めるかを判断するには、まったくもって失礼な会議であったと思います。


各分野から高いレベルの見識も経験も豊かな医師が専門家として参加しているのですから、
判断に必要な資料・情報というものが与えられれば、一時にして問題点を指摘され、
その回答によって是非を判断することなどたやすいことだったでしょう。


また、会議資料に、
泌尿器科医である斎藤先生と、
心臓血管外科の北村先生(副座長)から意見書が提出されていましたが、
どちらも腎移植が専門外で在りますのに、
十分な資料が事務局から提供されないままに、作成されたものであるように思えました。

意見書作成にどの程度時間的余裕を持って要請が成されたのかを考えると、
本当に両先生方には失礼な話だと思いました。

専門外、その上に公開される議事資料に掲載されるものであります。
新聞の無記名記事では無いのです。事務局サイドの失礼・不手際というのを感じずにはいられません。


そういうわけで、腎移植や腎臓摘出についての基本的資料も示されない会議ですから、
いかに優秀な構成メンバーであっても、
ディベートテーマとして一晩勉強した程度の良い高校生なら、もっとましな議論が行われるだろうというような、
幼稚なやりとりになってしまったのでしょう。

事務局の対応は、構成員として参加するメンバーに余りにも失礼であると感じました。

また、
事務局から病気腎移植に関する論点を整理した配付資料が示され、
門外漢(失礼)ばかりの会議は、事務局が整理した論点を念頭に議事が進みます。
それが事務局の狙いなんだと思いました。

本心から各分野の高いレベルの構成員の意見を聞いて保険適用の可否を決定をするというのであれば、
事務局が作成したような簡易なもので無く、
公平に賛成・反対・慎重派それぞれの力のこもったレポートが示されるべきです。
情報が正しく与えられてこそ、適切な結論が得られるのです。

一方、事務局資料として論点が示されていても、
「保留」にして、
さらに疑問に答えるように、
長期のリスク評価を求め、
瑕疵の無いドナーのインフォームドコンセントを得られるシステム作りと、
透明で公平なレシピエント選考手順作りを求めるという「先送り」の落としどころがみえみえであれば、
会議は官僚主導としか言えますまい。

利益相反のある構成員の排除は当然ですが、
少なくとも、
賛成・反対両派の参考人の出席を求め、
十分に説明を受けたうえで結論を出そうというのが、構成員の意志ではないでしょうか。


当日、
申請者である臨床研究代表者(炭塗り)から提出された「修復腎移植に関する臨床研究の実施計画書」が、
追加で配布されたのを見まして、事前の配付の資料はどれだけあったのだろうかと思いました。

まさか、今日配布された資料以外に無かったとしたらとんでもないことです。

しかしながら、この謎が溶け、官僚の意志が見えてくる一文にぶつかることになったのです。

現在進行中の「先進医療制度・高度医療制度の見直しについて(案)」にあるとおり、
関係する会議体として、先進医療と高度評価の委員会がありますが、
その役割分担について、構成員から何度も質問があったようです。


これら(先進医療と高度医療)は、
従来、研究的な医療として保険診療では認めない方向でした。
しかしながら、健康保険法上、保険給付に至る手前の技術について、
健康保険法63条第2項第3号で、適正な医療の効率的な提供を図る観点から、
保険適用の手前で評価をすべき医療については、保険を併用しても良いという記載があり、
それを根拠として、混合診療を認めるとされたものです。

また、先進医療と高度医療の違いは、
広義の先進医療の中が2つに分かれて、
1つ目が先進医療(第2項先進医療)(狭義)、もう一つが高度医療(第3項先進医療)とされ、
この第3項先進医療は、薬事法上、未承認・適応外の機器・医薬品に係る技術を取り扱う場合で、
この「高度医療」という制度が適用されます。

先進医療を行いたいという届出があった場合に、
(厚生労働省でまずはさまざまな事務的な整理をした後に)
先進医療専門家会議にて、
保険併用(混合診療)が適当かどうかを安全性・有効性等、さまざまな観点から検討するのです。*2

以上から、
広義の先進医療のくくりでは無く、狭義のそれとして検討に上げると言うことは、
今回は、不承認でしたが、
指摘された点を補足して「再提出があれば再び検討する」(猿田座長)とされたように、
けして高度医療のくくりに入るものでは無いと言うことなのだと考えました。

逆から言うと、高度医療の手続は、先進医療専門家会議で議論する前に、
薬事法上の未承認・適応外の技術に係る部分について、
つまり、安全性・有効性の把握が十分でないないことから、あらかじめ高度医療評価会議で検討した上で、
その結果、この手法を評価し、妥当であろうという前提でもって、
先進医療専門家会議に上がるという位置付けになっているのです。
そこで、保険併用の適否を判断するという手順であります。*3

つまり、
この「移植用腎修復術」は、
今回、高度医療ではなく、第2項の先進医療の適用の可否を問いました。
適用外の施術であるとして門前払いされずに、
エビデンスの追加・予後データの補足、最新のフォローアップなどを示すことが求められたことは、
すでに医学的な議論すべきところは無いとされたのではないかとまで思ってしまいます。

これは、難波先生の言われる、
移植学会の重鎮の恫喝よりも、
「人事権を持つ国会議員の方がよほど恐い。総選挙があり、政権が交代し、次の厚労大臣が誰になるかをちゃんと考えている。」
ということでしょうか。


また、専門家会議が指摘した問題点は、修復腎移植にだけ存在する命題ではなく、
移植医療全般、もっといえば医師と患者の関係のあり方にまで踏み込んだ問題提起であります。

だからこそ、
極めて聡明に議事を進めていく猿田座長(慶應義塾大学名誉教授 内科・内分泌学)が、
「今日出された問題に答えることができ、再申請をしてもらえば、また審査をする」と総括し、
その上で、
「こうした問題を議論するのは、この先進医療専門家会議でいいのか」と発言されたのだと思います。
(また、このことは、この場では無く移植関連の会議などでの議論の必要性を指摘した発言ともとれるのではないでしょうか。)*4

そして、
副座長である北村先生(国立循環器病研究センター名誉総長 心臓血管外科)が、
以前の会議の場で、、
保険局がやるこの会議において、先進医療の技術的評価ということは専門構成員会で十分であるが、
「費用対効果ということも、たいへん重要なポイントになる」と言われていますのに、*5
今回の議案には、その点の資料が欠落していたと思います。

本来的に、
先進医療(保険の部分適用)から保険適用へと検討されるのを旨とする先進医療専門家会議の評価採択ですから、
医療経済全体として、
国全体を見た場合にこの医療サービスの変化によって医療費がどう変わっていくのかということも、
議論されるべきであります。

北村先生は、第一回の会議で、そういう経済面から見た意見の必要性を指摘され、
医療経済の専門家を、この会に加えてはどうかと発言されています。
それに対し、猿田座長は、その重要性を認め、
医療経済の誰かを構成員として加えることの可否を全体に問われ、
全会一致で承認されています(後にメンバーに加えられました)。


このことは専門家会議の前日、
衛藤参議院議員の事務所で、
移植への理解を求める会からの要望書を厚生労働省保険局に手渡した後の会談で、
私が保険局の課長補佐に指摘したことであります。

高度医療であっても、先進医療であっても、
投下資本とそれで得られる便益を比較するという尺度無しで検討されることがあってはならないのです。

あくまでも、
狭義の先進医療・高度医療を指して話をしましたが、
臨床研究から一歩進んで高度医療・先進医療として検討採用される際には、
経済性という尺度も大きなファクターであります。


なぜか、今回の会議では、移植にかかる費用と透析でかかる費用の論点は触られずに不承認とされました。
ちょっと前に、胃瘻に至った患者さんの悲惨な現場も話題になりましたが、
透析と移植の予後の寿命と生活の質(Q.O.L.)を考えれば、
患者さんの社会での活動の範囲も広がる、大きな可能性を持った医療でありましょう。

「保留」でデータの追加を求める結論になりそうだった会議が、
日本医師会の中川副会長の主張で、不承認に変わってしまったように見えましたので、
なにか大きな力によって結論がゆがんでしまったのではないことをこころから願いたいと思います。

また、毎年膨らむ医療費*6を、いくらかでも抑えることが出来たとして、
そのことで、官僚の皆さんが評価を得られるという、
インセンティブが働く時代に徐々に変わっていくとしたら、
この国の官僚にも期待できる方々が育っていくことでしょう。

素人相手に、素人が承認・不承認の結論を出すシナリオを作る。
異常です。

一番のプロは、現場で患者さんと向き合う医師であります。
そして、自らその治療を経験した患者さんがプロであると言えるのでは無いでしょう気か。

参考文献
*1 平成17年5月9日先進医療専門家会議議事録
*2 第 30 回高度医療評価会議資料4 先進医療制度・高度医療制度の見直しについて(案)
*3 10/06/18 第49回先進医療専門家会議議事録
*4 医療維新 2012年8月23日ニュース 橋本佳子(m3.com編集長)
*5 10/06/18 第49回先進医療専門家会議議事録
*6 MSN産経ニュース2012.8.24 22:50 医療費37.8兆円に 9年連続増で過去最高 昨年度概算
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 傍聴、遠路遙々、お疲れさまでした。
傍聴レポート、興味津々で拝見しました。マスコミ報道では
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神戸の震災の支援に行き身体の動かない自分に気づきました。
それからジョギングやスイミングを始め、14㎏の減量。
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JC時代から、地域づくりに関わり、公開討論会を開くなどしました。そんな私が、2009年夏、公開討論会の当事者になってしまいました。
その後、0からのスタートとして、市議会議員に当選して活動を続けています。

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